教員・研究室紹介

ナノ空間物質の不思議な性質。その解明と応用。

ナノ物性研究室

物質はサイズを小さくすると、莫大な数の原子からなる通常の物質(バルク物質)からは予測できない新規な性質や機能を発現することがあります。

本研究室では、カーボンナノチューブやグラフェンなどのもつナノサイズの空洞や隙間に物質を閉じ込めた「ナノ空間物質」を作製し、新規な物性(相転移、電気・磁気的性質、ナノ流体現象、ナノ摩擦現象など)の探索と解明を行っています。

研究手法は、X線回折実験、熱物性測定、電気物性測定、光物性測定、計算機実験などです。これらの手法を用いて物性解明を行うとともに、ナノ空間物質の新物性を応用したデバイスの創製・提案にも取り組んでいます。

研究キーワード

ナノ空間物質
ナノチューブ
ナノサイズの水/氷
ナノ流体現象

研究分野

物性物理学実験
ナノ物質科学
構造物性実験

研究紹介

(1)ナノ細孔に閉じ込めた水、希ガス、炭化水素などの物性の研究を行っています。たとえば水の場合、ナノ細孔の形状やサイズを制御することにより、水素結合のネットワーク構造を多様に変化させることができます(図)。本研究室では、このような水の物性と機能を明らかにすることにより、現在の常識を凌駕する高水輸送や高プロトン伝導をもつ機能性薄膜の設計や、たんぱく質の構造、生体チャネル機構などの生体現象の理解などへ貢献することを目指しています。

(2)カーボンナノチューブは、軽量で柔軟なウエアラブル熱電材料として注目されています。これまでの研究により、カーボンナノチューブ材料の熱電物性は、キャリア濃度や金属型と半導体型のカーボンナノチューブの混合割合によって著しく変化することが明らかになりました。本研究室では、実用レベルの熱電特性の実現を目指し、実験とシミュレーションの両面からカーボンナノチューブ材料の熱電特性の評価を行っています。

図:カーボンナノチューブの内部空洞に閉じ込められた水の模式図。空洞のサイズ、形状などを変化させると、これまでにない新しい水/氷の構造が形成される。

発表論文

  1. D. Hayashi, Y. Nakai, H. Kyakuno, Y. Miyata, K. Yanagi, Y. Maniwa, “Temperature dependence of the Seebeck coefficient for mixed semiconducting and metallic single-wall carbon nanotube bundles,” Appl. Phys. Express, 13, 015001 (2020).
  2. H. Kyakuno, H. Ogura, K. Matsuda, Y. Maniwa, “Ice Nanoribbons Confined in Uniaxially Distorted Carbon Nanotubes,” The Journal of Physical Chemistry C, vol. 122, 18493–18500 (2018).
  3. H. Kyakuno, K. Matsuda, Y. Nakai, R. Ichimura, T. Saito, Y. Miyata, K. Hata, Y. Maniwa, “Rotational dynamics and dynamical transition of water inside hydrophobic pores of carbon nanotubes,” Scientific Reports, vol. 7, 14834 (2017).