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見えないものを手さぐりで探し出そう

天体放射線計測研究室

宇宙では壮大なスケールで激しい天体現象が起こっています。そこでは電子や陽子などの粒子が光速近くまで加速され、粒子からX線・ガンマ線といった電磁波が放出される他、粒子自身も宇宙線として宇宙空間を飛来して地球に届きます。

しかし、宇宙があまりにも広大であるがゆえ、検出されるのは微弱な信号です。既製品で観測ができるようなら、とっくの昔に誰かが成果を挙げてしまっているので、最先端分野では新たな装置を独自に開発する競争です。装置シミュレーション、回路・データ取得システム開発、性能評価試験、そしてデータ解析手法に至るまで創意工夫の勝負です。もちろん、利用できるものは利用しますが、無いものは作ってしまいます。
 

図:CERNでの加速器ビーム照射実験によるCALETの構造熱モデルを使った性能評価試験

研究キーワード

宇宙線
放射線
放射線検出器
国際宇宙ステーション

研究分野

宇宙線物理学
ガンマ線天文学
放射線計測

研究紹介

宇宙では電子などの粒子(宇宙線)が、地球上では考えられない高エネルギー現象の中で光速近くまで加速され、地球にも降り注いでいます。この宇宙線を気球や宇宙ステーションにおいて観測するための装置を開発してきました。

そのために、検出器構造の設計、信号処理回路やデータ取得システムなどの研究開発と同時に、取得したデータから結果を導き出すデータ解析にもオリジナリティが必要です。現在はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と各大学で共同開発した観測装置が国際宇宙ステーション(ISS)に搭載され、宇宙線の観測を行っているところです。

発表論文

  1. O. Adriani, K. Hibino, Y. Shimizu, T. Tamura, et al., “Direct Measurement of the Nickel Spectrum in Cosmic Rays in the Energy Range from 8.8 GeV/n to 240 GeV/n with CALET on the International Space Station” Phys. Rev. Lett. 128, 131103 (2022).
  2. O. Adriani, K. Hibino, Y. Shimizu, T. Tamura, et al., “Measurement of the Iron Spectrum in Cosmic Rays from 10 GeV/n to 2.0 TeV/n with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station” Phys. Rev. Lett. 126, 241101 (2021).
  3. O. Adriani, K. Hibino, Y. Shimizu, T. Tamura, et al., “Direct Measurement of the Cosmic-Ray Carbon and Oxygen Spectra from 10 GeV/n to 2.2 TeV/n with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station” Phys. Rev. Lett. 125, 251102 (2020).