教員・研究室紹介

吹けよ宇宙線、呼べよガンマ線!宇宙の超高エネルギー現象を探れ!

地球宇宙情報研究室

宇宙空間を飛び交う高エネルギーの素粒子や原子核(宇宙粒子とか宇宙線とか呼ぶ)は宇宙からの贈り物です。私たちがまだ見ぬ宇宙の果て、銀河の果てで起こっている情報を地球に運んでいます。地球宇宙情報研究室では、これらの様々な高エネルギー宇宙粒子を地上に設置した宇宙粒子望遠鏡(宇宙放射線観測装置)を使って、観測して、宇宙や銀河、そして地球の謎を探ろうとしています。

具体的には、天体からやってくる超高エネルギーガンマ線を捉え、活動的な銀河の中心核で高エネルギージェットを噴出しているブラックホールや中性子星などの高エネルギー現象を探り、地球環境と関係するかもしれない雷雲からの放電、ガンマ線放射を研究しています。

図:乗鞍岳宇宙線観測所で観測装置を組み立てる学生たち

研究キーワード

宇宙線
ガンマ線
素粒子
銀河系
超新星爆発
太陽
地球環境
雷放電

研究分野

高エネルギー宇宙物理学
宇宙粒子天文学
超高エネルギー宇宙線
雷雲ガンマ線

研究紹介

(1) チベットASγ実験:中国との共同研究として、中国チベット自治区ヤンパーチン(標高4,300m)高原に、粒子線検出器789台からの空気シャワー観測装置(図1)を建設して、10の12乗エレクトロンボルト(TeV)から15乗エレクトロンボルト(PeV)の超高エネルギー宇宙線やガンマ線を観測している。現在までにかに星雲からの100TeVを超えるエネルギーガンマ線を世界で初めて観測することに成功した。また、我々の銀河面に沿って、天体に同定されない複数の100TeV以上のガンマ線を初めて捉えて、我々の銀河内にPeVを越える宇宙線源(ペバトロン)が存在することを示した。

(2) アルパカ実験(観測計画):南米ボリビアのチャカルタヤ山山腹(標高4,740m)に空気シャワー観測装置を建設して、銀河中心方向からの超高エネルギーガンマ線の観測を行い、世界初のペバトロン天体の探索を計画している。2018年から現地調査が始まり、現在は観測装置のプロトタイプを建設中(図2)で、2024年頃までの完成を目指す。

(3) その他、夏季の長野県の乗鞍岳でも雷雲ガンマ線観測実験を行っている。

図1: チベットASγ実験

図2: アルパカ実験(観測計画)

発表論文

  1. M. Amenomori, K. Hibino et al., “First Detection of sub-PeV Diffuse Gamma Rays from the Galactic Disk: Evidence for Ubiquitous Galactic Cosmic Rays beyond PeV Energies”,  Physical Review Letters, (126),pp.141101-141108 (2021).
  2. M. Amenomori, K. Hibino et al., “Potential PeVatron supernova remnant G106.3+2.7 seen in the highest-energy gamma rays”, Nature Astronomy Letters, (5),pp.460-464 (2021).
  3. M. Amenomori, K. Hibino et al., “First detection of photons with energy beyond 100 TeV from an astrophysical source”, Physical Review Letters, 123, 051101 (6 pp.) (2019).