チェンジャン動物群 新ムービー、神奈川大学3号館にて一般公開! (2005年3月)     (協力; 蒲郡命の海科学館)

 

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チェンジャン(澄江)は中国の雲南省・昆明の近くにあり、カンブリア紀中期の貴重な生物群の化石が良好な形で保存されています。

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この地層は、バージェス頁岩よりも少し古く、同じ生物もいますが、違う生物も出土し比較ができるので大変貴重な資料となっています。

公開 チェンジャン動物群最新ムービー!

 

シダズーン 節足動物と脊椎動物の両方の特徴を併せ持つ驚異の生物

新設の門に分類されるようになったとても奇妙な生物。全体の形はおたまじゃくしのように頭部と尾部に分かれている。驚異的なのは、尾部の見た目は魚のヒレのようであるが、7つのセグメント構造からなり、むしろ節足動物の特徴を持っている。しかしながら節足動物にある付属肢は無く、魚のヒレのような形をしている。節足動物的な基本体型ながら全体の形が 遊泳に適した形になることを収斂進化といい、このシダズーンにもそれがあらわれている。
 一方、頭部の側面には5つの明瞭なエラがあり、脊椎動物の特徴を持っている。このように脊椎動物と節足動物をくっつけて、しかも全体の形はおたまじゃくしに似ているという、現在の常識から飛び離れた生物がカンブリア紀(すなわち生物進化の最初期の段階)にあらわれたことは驚異と言えよう。

 ところで、別の解釈をしてみよう。シダズーンをはじめとするカンブリア紀の生物達は現在の分類体系からすると著しくはずれていて、現在の分類に未だに帰属できない生物がたくさんいる。従って、現在の分類からすると「とても奇妙な生物」がカンブリア紀に出現した、という表現になる。「ワンダフルライフ」においてグールドが強調した内容である。しかし我々の行っている分類体系は最初から秩序立った枝分かれ型として進化してきたのではなく、生物は最初期に様々なバリエーションを作り出して、 そのほとんどは絶滅し、残った幾つかのグループが再配置を行って収斂してきた結果が現在のような分類体系になったと考える立場もある。無脊椎動物の進化(Invertebrate Relationship)を著したP・ウィルマーの考えである。このような立場を考えるとカンブリア紀の生物達は奇妙な生物という位置ではなく、生物進化のスキームの中にうまく収めることができる。
 また、これらカンブリア紀の生物達を眺めているとそれなりに形態的・機能的な収斂を起こしていることが見て取れる。現在の分類単位は、これら「それなりに機能的な」カンブリア紀の生物群が再配置を起こして更に洗練された形になった「結果」ではないだろうか。これら再配置の変化はカンブリア紀末からオルドビス紀にかけて行われ、オルドビス紀以降は現在の分類体系に近いグループができあがってきたのではないだろうかと思われる。

 

ッツリコーリア門  新設された動物の一番大きな分類単位

動物の分類の一番大きな単位は門だが、この門のレベルに新しいグループが新設された。ベッツリコーリア門である。シダズーンは以前は既存のグループにまとめられていたが、現在はこの新しく設置されたベッツリコーリア門に帰属するようになった。

このベッツリコーリア門にはシダズーンを含めて
 シダズーン
 ディダズーン
 ポマツラム
 ベッツリコーラ
が知られている。

 

ミロクンミンギア 最古の魚類


画像提供 中国西北大学 舒徳干教授    協力 蒲郡・生命の海科学館

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これまで最古の魚類と思われていた化石はオルドビス紀下位から見つかっていたアランダスピス(オーストラリア、4億7千5百万年前)であった。これは原始的な顎の無い魚として無顎類(Agnathan)と呼ばれる。脊椎を持つ魚ではなく、近縁の原始的な生物である脊索動物としてはカンブリア紀中期のバージェス頁岩から見つかっていたピカイア(Pikaia)が最古の魚の祖先とされていた。

1999年のネイチャー誌(vol401, 42-46)に発表された「最古の魚発見」の報告はこれまでの記録を5千万年も遡ることとなった。それが「ミロクンミンギア」である。

脊索動物門
脊椎動物亜門
無顎綱
ミロクンミンギア属 (新属)
ミロクンミンギア・フェンジャオア (新種)

名前の由来;ミロはギリシア語で魚の意。後半のクンミンは見つかった場所の昆明(雲南省)に由来する。蒲郡命の海博物館によると、このミロクンミンギアはたった1つの標本しか見つかっていない超希少種だそうである。
ミロクンミンギアは3cm弱で大きな生物では無かった。体全体は2つの領域に分けて考えることができて、その1つである頭部には鼻と複雑な構造のエラが認められる。体の後ろ半分はヒレとなっていて、その先端は欠けているのでどのような構造になっていたかは分かっていない。体の後半の腹側面にはヒレのような構造があり、大きな特徴となっている。口は、頭の先端に位置していたと思われるが不明瞭な保存状態から正確な形はわかっていない。

ミロクンミンギアの失われた尻尾 (宇佐見)
今回再現CGを作るにあたり気がついた点がある。すなわち尻尾の先端にはもう少し大きなヒレがあった筈ではないかということである。ミロクンミンギアの形を3次元的に再現し、泳ぎのモーションをつけてみると、尻尾の先端が、世間に流布している再現図のように尻つぼみだと泳ぐ為の推進力が得られない。現生の魚をおよそ調べてみると、発達した尻尾の筋肉を利用して推進する魚は例外なく大きな尻尾がある。このような尻尾が無い魚類もいるが、このような例はウナギ型の体系を持ち、尻尾の部分で推進力を得たわけでは無かった。そこで、おそらくは、流体力学的な特性からミロクンミンギアの尻尾はより大きな尻尾が存在し、この部分は現在は見つかっていないと考えられる。

ミロクンミンギアと同時に報告(記載)されたもう一つの魚(無顎類)にハイコウチクスがいる。

 

脊索動物門
脊椎動物亜門
無顎綱
ハイコウチクス属  (新属)
ハイコウチクス・アーカイクネンシス (新種)

ハイコウチクスはミロクンミンギアよりは少しだけスレンダーで、発達した背びれを持つのが特徴である。
カンブリア紀の地層から発見される脊索動物は非常に稀なので、それ故、それらの生物的地位については不明な点が多い。最近同じくチェンジャンから発見されカサイミラスと名づけられた生物は頭索動物であり、これはバージェス頁岩のピカイアと同じである。正確なことはもちろんわからないがチェンジャンのカンブリア紀下部からこのような魚(無顎類、脊椎動物)が見つかったということは、おそらくカンブリア紀のアドバニアン期(5億2千5百万年前)にはメクラウナギの祖先型のような脊椎動物がいたと考えられる。